
2017年11月11日の土曜日、パリのポンピドーセンターでシネリセ のフェスティバルが行われました (
Festival CineLycee)。 シネリセとは、フランスの高校生が制作した映画のコンクールのことです。このフェスティバルでは、昨年度より日本の高校生が作成した作品が上映されています。今年も、2016年度のeiga worldcup最優秀作品「
妄想したってイイじゃない!(仏語字幕 15分ver.)」が上映されました。
僕は日本側の代表として当日参加をしてきましたので様子をレポートしたいと思います。

当日パリは朝からの雨でした。パリ中心部にある現代美術館ポンピドーセンターは非常に大きな現代建築を代表する建物ですが、フェスティバルはこの中の視聴覚ホールでおこなわれました。

午前中に審査対象である11作品が上映されました。300人ほど入る会場は参加高の生徒をはじめ関係者でほぼ満員でした。本年度は個性のある作品が多く、フランスの高校生の成熟度を感じさせる作品が目立ちました。
午前中いっぱいかけて本上映が終了。審査員が審査を行っている間に、日本からの招待作品が上映されます。フランスのシネリセと日本のeiga worldcupは、高校生の映画作品交流をおこなっており、今年、東京で開催されるeiga worldcupではフランス側の作品が上映されることとなっています。代表のバロー氏は上映直前の作品紹介の際に、こうした交流の意義の深さを語ってくれました。「ビデオコンフェロンスで日本からの生の声と映像をみなさんに紹介したり、そのうち実際に人が行き来するぐらいまでこの交流を発展させたいですね。」とまで聴衆の前で語ってくれました。
さていよいよ「
妄想したってイイじゃない!(仏語字幕 15分ver.)」の上映がはじまりました。フランス語のタイトルは「
Mes Illusions」です。 この作品は会話が多く、携帯電話でのやりとりなども物語に深く関わっており、話の筋がうまく伝わらないと良さがわからない作品です。今年は僕自身がバロー氏と共に事前の翻訳作業に参加をしていましたので、観客の反応が多いに気になるところです。

作品の冒頭、親友であるふたりの女の子がある投稿をめぐってささいな誤解で仲たがいをしてしまうシーンがあります。物語の発端をつくるエピソードですが、ここが理解できないと後の展開もついていくのがなかなか難しいところです。
バロー氏と行った翻訳作業では、日本の高校生同士が話している言葉の感覚を表現するために、なかなか苦労をしました。日本語の本来の意味を僕が彼に説明し、彼がフランスの高校生が使う言葉の感覚に近づけて一語一語を選んでいくという作業でした。
僕が感じた観客の反応はまずまずのものでした。大きな展開があるごとに皆からため息が漏れたり、驚きのシーンでは、ざわつきが感じられたり、また激しい口論の場面では会場全体が、シーンと静まってしまうなど、聴衆が一体となって作品に入りこんでいる感じが伝わってきました。「うん、これはかなりいい線いっている。」と自然につぶやいてしまいました。

作品の最後は、三人の女の子が意中の男の子に会うために旅に出かけるという希望を持たせる、いいシーンです。上映終了の明かりがつくと、そのハッピーな余韻をひきずってか、お互いが笑顔で顔を見合わせる、そんな光景を会場のあちこちで目にしました。
確かに作品の内容はわかってくれた、こうした光景から確信を得ることができました。
招待作品の上映の後は受賞作品の発表と、トロフィーの授与式です。バロー氏とは落ち着いて観客の反応について話をする暇はなかったのですが、最後に、この日仏の高校生同士の交流を進めていくことへの意欲を確認して、会場を後にしました。
2017年11月13日
いちかわとしひで
WHFS(ワールドハイスクールフィルムサミット)2017
日時:2017年12月9日(土)13:00〜
場所:青山学院大学アスタジオ
※詳細は追って、本HP上にて公開いたします。